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年末年始に
アトリエの大家さんから頂いていた柚子と林檎をエッチングに起こしています。
いつも冬至のころに頂戴していて、毎年何らかの形で描き残しています。昨年は水彩で描きました。

額装して、ちょっとした贈り物にする一枚です。





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12月16日に
午前中で終える授業のあと、恵比寿にあるアンティーク店に立ち寄ることにしました。
今月でこの店舗が閉まると知って、もう一度見ておきたかった空間です。

ここには、きっとサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局のポプリの匂いのせいもあって、ヨーロッパの教会の聖具室を拝観するような気持ちで、店内の品々とそれらがおかれた空間を感じとる愉しみがありました。
旅行先のヨーロッパの教会で、その周囲には街の喧騒があるけれど、木製の扉をきいっと入ると、時間とか空気とかがすっと変わる、あの感じです。

キクチさんのバッグ

革の上を縦横無尽に走る力強い縫製/
肩に掛けて体になじむ/とっても丈夫/

キクチメグミさんと知り合いになってからは展示会があるたびに伺っていて、いいなぁと、ずっと思っていました。ただ、一点ものだし、僕が気安く衝動買い出来るような品ではなくて。
この日もいくつかを触らせてもらっていたのですが、あ、これ買うかも…と感じました。
帰宅して落ち着いてから、取り置きのお願いを送信しました。



Bricolage

アトリエにある端材のベニヤ板を使って画鋲を作っています。
バイスの大きさの関係で、作る数は1日で4個か8個。
2cm角にたくさん切っておいたもの2枚使って、小さな真鍮の釘を挟みます。
木工用ボンドで圧着して完成です。だいぶ数が揃いました。

これは、アンティークリネンをカンヴァスの木枠に張る際に、仮張り用に使うものです。
学生時代に染色科棟のアトリエで見たことのある、染色用具の張り手や伸子を思い出しながら作りました。



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9月25日に

髙島野十郎の絵が観たくて、高速に乗って高崎市美術館に行ってきました。

蠟燭の青白い炎は、黄色味を帯びた微細な絵肌をもつ白色と、その肌理から覗くほのかな青色。展示会場にあった彼の筆の摩耗具合からは、その制作過程を窺うことが叶いました。いま思い返すと、よく手入れされていた筆だったとも思います。

そこから少し足を延ばして、前橋市粕川町の美術館へ。ちょうど、ガラス作家の友人が作品の展示中でした。大学院の時の1学年下で、同じギャラリーの公募展出身だったこともあって、卒業後もちょいちょいお会いする機会はありましたが、再会は8年ぶりでしょうか。展示室の外へ出て、小道をてくてく歩きながら懐かしい話をしました。彼女の計らいで館長さんにご挨拶もさせていただいて、楽しいひと時を過ごせました。

写っているのは彼女から25年以上前にもらった一輪挿しです。
ガラス製のスポイトがぴったり納まるので、今はホワイトガソリンを入れています。

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翻訳をされた方が同じ市内在住の、こんなに近くにお住まいの方だったとは。

僕がこの本に出合えたのは割と最近のことです。 自分には到底近づくことが適わない書物だと思っていたからです。


知り合いになったばかりのイタリア人の若者と、帰りの西武新宿線でおしゃべりしたことを今でも覚えています。
お互いに好きな本の話になって、彼は「オーエの文学は素晴らしい」と言う。僕は「大江健三郎は僕には難しくてわからないや」と返す。そしたら彼は「カンジが難しくて読めないの?」。
「僕はカルヴィーノの見えない都市が本当に好きなんだ」。「カルヴィーノは難しいよ」。「翻訳のお陰で、僕は見えない都市を読めていると思う。翻訳家のお陰で僕は内容を理解できているんだと思う」。「確かにそうだね」。

たまたま帰りの方向が同じだっただけの、どちらかが先に電車を降りるまでの会話だったけれど、海外文学を読むときにあの車両の雰囲気をふわっと思い出します。

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7月15日の夕方

この日は講義で自分の作品のことを話しました。様々な専門分野の先生方がオムニバス形式で講義を行う基礎教養科目で、この日が自分の担当回でした。
自分の絵のことを話すのは別格に難しいし恥ずかしいです。いつもぎりぎりまで講義原稿を書き直してしまって、結局のところ、いつもとは違うテンションでチャイムが鳴るのを待つ自分がいます。
PCのカメラに向かっていて、話す内容やリテラシーの想定は適切だっただろうか。1年生向けだからといって、話をかみ砕きすぎて逆に失礼にはならないだろうか。履修者の回線落ちを意識しすぎて単調になっていやしまいか。

講義が終わった後はいつも自己嫌悪が増幅して、しばらくの間しゅんとするのですが、この日は救われました。
いつもお昼をご一緒させてもらっている、学科の違う先生方とばったり会えて、夕食の席にもお邪魔させてもらうことができました。


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先日の空模様から

絵具のフタロシアニンブルーそのままのような空色に、ひとすじの灰色の雨雲。
刷毛で垂らし込んだような筋が印象的でした。