垂直と水平

『色彩の表記』アルバート・H・マンセル著 日高杏子訳 みすず書房, 2009年

彼の提唱した色の物差しは、子供向けに考えられたものでもあるという。これは日本色彩学会の先生方から教えていただいた逸話です。

マンセルによる色立体の概念は、垂直軸に明度(Value)、水平面には色相(Hue)をおく。その水平の広がりに彩度(Chroma)をもつ空間として表します。Valueの頭文字Vが垂直(Vertical)で、HueのHがHorizontal、ChromaのCを中心からの広がり(Centre)として、フレミングの右手の法則みたいに、子供たちへわかりやすく理解できるようにマンセルが意図したとされています。彼が明度をあらわす単語として「Tone」という言葉を選ばなかったのは、頭文字がTでは都合が悪かったからではないか、と推測されているそうです。
ちなみに美術の教科書でよく見かける色相環は、現在は12色のものが一般的ですが、彼の色相環では10色として考えられていました。10色であれば子供たちが両手の指で色を数えることができるから、なのだそうです。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です